バディファイトRe:B小説 第3話「親友対決 友牙vsランマ」

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第3話
「親友対決 友牙vsランマ」

第2話→https://akahebi.hatenablog.com/entry/2020/07/05/114247


相棒学園ファイトステージ

SSSカップ第1試合の対戦カードが発表され、ファイトステージには2名のファイターが向かい合っていた。
「いよいよSSSカップ1回戦第1試合です。まずは出場選手のご紹介!」
友牙は会場のスポットライトに照らされ、観客の視線が友牙に集まる。
「神の力を持つモンスター『ドラゴッド』の使い手であり人呼んで『遊びの神』!未門 友牙選手ー!バディは『ガルガンチュアドラゴン』!」
友牙の紹介が終わるとランマも友牙と同じようにスポットライトで照らされた。
「喪われた世界『ロストワールド』の使い手!加古川 ランマ選手ー!バディは『ヴァニティ・骸・デストロイヤー』!そして、なんと2人は『友TUBE』という動画サイトにて『RanGaちゃんねる』として一緒動画を投稿している『友チューバー』仲間とのこと!初っぱなから親友対決だー!」
2名のファイターの紹介で観客のボルテージが上がっていく。
しかし、ボルテージが上がっているのは観客だけではない。
「1回戦の相手がまさかランマとは思わなかったぜ。」
「オレもビックリだぜぃ。変なじいちゃんに連れてこられたと思ったらこんな大会に参加することになるし。…でも、お陰で友牙とまたこうやってファイト出来るのは感謝しないとな。」
2人はお互いの再会をしみじみと噛み締めていた。
そして観客席から2人への声援が飛んできた。
「2人共ー!ナイスファイトを期待してるぞ!」
「全力ファイトだゾ。」
「友牙。ランマ。ボクらは君たち2人共応援しているよ。」
「2人共、ファイトですよー。」
それは観客席で2人のファイトを待ちわびるスバルとマサトたちのものだった。
「みんなー!応援ありがとう!このファイト全力で楽しむぜ。」
「オレもこのファイト、手加減なしの全力ファイトだぜぃ。」
ファイトの前から2人の気持ちは熱く燃え上がっていた。

そんな2人をスバルとマサトは見守る。
「それにしてもあの実況…友牙の母ちゃんだっけ?未来から来た友牙たちのことよく知っているよな。」
「ああ。あれはボクが彼女に渡した情報だ。」
「え?」
「『RanGaちゃんねる』はもっと多くの人に知られるべきだ。例えそれが過去であろうと例外はない。…それにしても、もう少し『RanGaちゃんねる』についてもう少し触れても良いのではないか?やはり最初に動画を紹介するのが…」
「そ、そうだなスバル。」
「スバル…。」
マサトとクロスはスバルの発言に少し困ってしまった。
「お、そろそろ始まるみたいだゾ。」
アギトは2人に気を使ってか、3人の意識をファイトステージに戻した。

スバル達の声援を受け取った友牙は、ガルガに耳打ちするように小さな声で話した。
「それにしてもガルガ、母さんが実況しながらファイトする流石になんかやりにくいな。」
「何を言う。我らはいつも通りファイトをすれば良いだけであろう。変に緊張する必要もあるまい。」
「そうは言うけどさあ…。」
「では両者ともファイトの準備をお願いします。」
そんな友牙に構わずファイトの準備が進められる。
パル子に指示され、友牙は赤いコアデッキケースを取り出した。
(ぶんぶくの師匠から貰ったコアデッキケース…確かルミナイズすれば持ち主によって形を変えるって言ってたっけ?どういう意味だろう?)
友牙がそんなことを考えていると突然友牙のコアデッキケースが光り始めた。
「うわっ!?」
友牙のコアデッキケースは、瞬く間にその形状をヘッドホンのような形に変わった。
「これが…オレのコアガジェット?」
「では、両者ルミナイズしちゃって下さい!」
(よし、やってみるか。)

「世界を繋ぐ闘いの神、ここに降臨!ルミナイズ、『シン・神ドラ』!」

友牙と同じようにランマもコアデッキケースを取り出した。そしてランマのコアデッキケースは黒い髑髏(どくろ)の形に姿を変える。

「喪われし次元の扉を開け!ルミナイズ、『ディメンジョンゲート』!」

「「バディーファイッ!オープン・ザ・フラッグ!」」

「ドラゴンワールド!」

「ドラゴンワールド!」

「おや?ファイト開始したにも関わらず、ランマ選手のバディが見当たりません。それに事前情報ではランマ選手はロストワールドの使い手のはず…これは一体どういうことだー!?」
困惑しているパル子の実況にランマは答える。
「まあ焦るなって。オレ様のカッコ良いバディはファイトが始まればすぐに見せてやるさ!」
ランマはそう言うと友牙の方に向き直った。
「さあ、友牙!お前の先攻だぜぃ。どっからでもかかって来いよ!」
ランマは友牙に対して指で挑発した。
「遠慮はしないぜランマ!オレのターンからだ。ドロー!」
ランマの挑発を受け、友牙のドローで2人のファイトの口火が切られた。
…はずだった。

ブーーーーーーーー!

突然友牙のコアガジェットから大きな音が発せられた。
「え!!?何だ!オレのコアガジェットが急に!?」
突然のことで驚きを隠せない様子の友牙。しかしランマは驚く様子もなく、むしろ呆れている様子だった。
「友牙…。お前大会が始まった時の説明を聞かなかったのか?」
「せ…説明?」
ランマの言葉を聞いてもピンと来ていない様子の友牙にパル子が近寄った。
「友牙選手、まさか私が開会式の時に説明した今回の大会のルールについて聞いていなかったんですか?」
「えーと、その…あははは。」
「はあ、では改めて今回の大会の説明をしたいと思います。今回の大会では時代を越えたファイター同士のファイト、それによってファイトのルールもそれぞれの時代によって少しずつ異なります。そこで今回の大会ではそれらを統一する為に、独自のルールを設けます。」
「独自のルール?」
「『先攻のファイターの1ターン目の始めはチャージ&ドローのみ行えます。』」
「チャージ&ドローのみ…あ。」
友牙のコアガジェットが突然鳴ったのは故障等ではなく、友牙が始めにカードを引こうとしたことが原因だった。
「友牙選手、ちゃんと人の話を聞かないとダメですよ。」
「はい…ごめんなさい。」
パル子に注意をされ、申し訳なさそうな表情の友牙。
その様子を見ていたガルガは思わず笑ってしまう。
「ガルガ、何笑ってるんだよ。」
「いや、何、なんでもない。」
「何だよそれ。」
友牙を注意したパル子はステージの中央に戻りファイトの進行を進める。
「では友牙選手、気を取り直してチャージ&ドローからお願いします。」
パル子にそう言われた友牙は、一端呼吸を整えた。
「全くお前という奴は…。準備は良いか?」
「…よし、もう大丈夫。いくぜ、ガルガ。」
「心得た!」
トラブルはあったが、やっと2人はファイトの体勢に入った。

「オレのターン、チャージ&ドロー!」
友牙は力強くカードを引いた。
「装備、《両光剣 ガルジリアンソード》。レフトに《ガルキャット》をコール。」
「やってやるキャット。」
「頼りにしてるぜ。ガルキャットの効果で1ゲージプラス1ドロー。そして《神・ガルガンチュア・ドラゴン“Re:B"》をライトにバディコール!」
友牙の指示で飛び出したガルガはその姿を変えライト登場した。
「我が剣の前に敵は無し!!」
【友牙ライフ・10→9→10】
「ガルジリアンソードの効果発動!ゲージ1を払い、デッキからガルガンチュアを含むモンスターをドロップゾーンに置く。よしガルガ、ランマにアタックだ!」
「心得た!うおおおお!」
友牙の指示を受けたガルガがランマに攻撃を叩き込んだ。
「くっ!」
【ランマライフ・10→7】
「やるな友牙。でもオレも最初から全力で行かせて貰うぜぃ。ファイナルフェイズ!」
ランマのファイナルフェイズ宣言に友牙とガルガは大きく動揺した。
「オレのターンにファイナルフェイズ宣言だって!?」
「ランマの奴、何をする気だ!?」
ランマは手札から1枚のカードを大きく掲げた。
「キャスト、《D・ゼニス》!オレは手札の次元竜2枚を捨て、デッキから《ロストワールド》を手札に加える。」
「まさか!?」
「そのまさかだ。オーバー・ザ・フラッグ!ロストワールド!!」
ランマのその宣言と共にランマの姿が全身黒で統一されたマント姿に変わった。
そしてランマの上空では黒い穴が生まれ、無数の黒いカードたちが落ちてきた。そして、その黒いカードたちはランマの手に集まり1つの黒いデッキとなった。
「虚無次元の扉が開き、凶乱魔竜が咆哮する!デッキチェンジ!『ロスト・ヴァニティ・ディメンジョン』!!」
ランマがデッキチェンジするとランマの後ろに今まで姿を見せていなかったランマのバディである黒いドラゴン、デストロイヤーがその姿を現す。
「凶乱魔竜 ヴァニティ・骸・デストロイヤー!」
「なななんと!ランマ選手が使用するロストワールドとはファイトの途中で自らデッキを入れ換えるカードだったー!」
「いきなり必殺技使ったと思ったら1ターンからロストワールドなんてすげぇなランマ。」
「言っただろ?最初から全力で行くって。」
「そうだったな。あと言おうと思ってたんだけど…その変な格好結構気に入ってる?」
友牙の質問に顔を赤くしながらランマは答えた。
「変な格好って言うな!これはオレ様の勝負服だぜ。ロストワールドを使うならやっぱりコレじゃないとな。」
「へへ、そっちの格好も結構似合ってるぜ。じゃあこれでオレのターンは以上。」

「じゃあオレのターンだな。ドロー、チャージ&ドロー。センターに《次元竜アゴニア》をコール、キャスト、《D・サクション》。アゴニアを破壊して2枚ドローそしてライフを回復。」
【ランマライフ・7→8】
「そして、アゴニアの能力で手札の次元竜を捨てデッキの上から4枚を見る。その中から2枚を手札に加え、残りはゲージへ。」
「ランマ選手、強力なドローコンボで手札を増やした!そして、ランマ選手の手札は全て黒いロストワールドのカードになったー!ここから一体どのようなカードが飛び出すか注目です!」
「じゃあ早速見せてやるぜライトに《イーラゲート・デルシヲン》、センターに《アプリスト・ドラミス》をコール!」
ランマの場に2体の黒いモンスターが現れた。
「ガルガ、センターに移動だ!」
ランマの攻撃に備え、友牙はガルガの移動でセンターを固めた。
「『神G・EVO 』発動!」
「このタイミングで『神G・EVO』だって!?」
「『神・ガルガンチュア・ドラゴン“Re:B”』は好きな時にドロップゾーンから『神G・EVO』できるんだ。チェンジ!」
『神G・EVO』によってガルガがその姿を変える。
「神・ガルガンチュア・ドラゴン“モード・デュアル”ゥ!!!」
「そうか。さっきのターンにガルガをドロップゾーンに置いていたのは、この為だったのか。」
「我の効果は『G・EVO』で登場した時、相手のカードを2枚破壊し、2枚ドローする!」
ガルガがランマのモンスター達に迫り、その剣を振るった。
「第一斬!!」
イーラゲート・デルシヲン破壊!
「第二斬!!」
アプリスト・ドラミス破壊!
「良いぞガルガ、これでランマのモンスターは全滅だ!」
新たなガルガの能力によってランマは全てのモンスターを失ってしまった。
「甘いぜ友牙。《アプリスト・ドラミス》の効果発動。破壊された時、デッキの上3枚の中からモンスターを好きな数、ノーコストでコール出来る。」
ランマはデッキから3枚のカードをめくった。
「ライトにもう1度《イーラゲート・デルシヲン》、レフトに《アゴニアギル・デルヒバラム》。そしてもう1枚…」
ランマが自身のバディを呼ぶ。
「さあ、震えろ、怯えろ、絶望しろ。《凶乱魔竜 ヴァニティ・骸・デストロイヤー》をセンターにバディコール!」
【ランマライフ・8→9】
ランマの場に再びモンスターが並び立つ。
「ガルガよ。このファイト、勝利は我らが頂く。」
「デストロイヤーよ。それは我を倒してから言うんだな。」
「無論、そのつもりだ。」
「デストロイヤー、ガルガにアタックだ。」
「その望み叶えてやろう。」
デストロイヤーが中へ舞い上がり、ガルガに攻撃を仕掛ける。
「『次元の扉・序』。我の能力で場のカード1枚をドロップゾーンへ送る。喰らうがいいガルガ。」
デストロイヤーから放たれた攻撃がガルガを襲う。
「…何?」
しかしデストロイヤーから攻撃を受けたはずのガルガは全くの無傷だった。
「ガルジリアンソードの効果だ。ガルガがいる限り、オレの場の神竜族は相手の効果で破壊されず、場も離れない。」
「流石友牙。デストロイヤーの対策も万全ってことか。だけどデストロイヤーの攻撃はまだ続いてるぜ。」
デストロイヤーから再び攻撃が放たれガルガは破壊される。
「ぬッ!ソウルガード。」
しかし、ガルガは自らのソウルを使い、場に留まった。
アゴニアギル・デルヒバラム、ガルガを攻撃だ。」
「グォォーーー!」
「貫通!」
【友牙ライフ・10→7】
「くッ!まだだッ!」
ガルガはソウルを使い再び場に残ったが、ガルガは全てのソウルを使いきってしまった。
「我に反撃あり!」
ガルガも負けずに剣を振るい、ランマのモンスターを返り討ちにした。
「破壊されたデルヒバラムの効果でライフをプラス3だ。」
【ランマライフ・9→12】
「続けてイーラゲート・デルシヲンでガルガを攻撃。効果で1ドロー。」
「グォォーーー!」
イーラゲートの鋭い爪が再びガルガを襲う。
「ぐはッ!」
「ガルガ!」
攻撃受けたガルガは破壊されてしまった。
「続けて友牙に攻撃だ!」
「くッ!」
【友牙ライフ・7→5】
「3回攻撃!」
「うわぁ!!」
【友牙ライフ・5→3】
「ランマ選手!1度友牙選手にモンスターを全滅させられましたが、そこからの猛攻で友牙選手を追い詰め、友牙選手の残りはたった3!これは1回戦は早くも決着か!?」
「デストロイヤー、友牙にアタック!」
「その望み叶えてやろう。」
デストロイヤーが友牙に迫る。
「『次元の扉・序』。未門友牙のアイテムをドロップへ送る。」
デストロイヤーがそう言うと友牙が持っていたアイテムが友牙の手から消えた。
「くッ!」
「この攻撃が通ればランマ選手の勝利だー!」
「させない。キャスト、《ドラゴンシールド 青竜の盾》!攻撃を無効にしてゲージ1プラス。」
友牙のドラゴンシールドでデストロイヤーの攻撃は弾かれた。
「お前なら持ってると思ったぜ。オレはこれでターン終了だ。」
1ターン目からロストカードを巧みに使うランマ。そんなランマの猛攻をなんとか耐えた友牙は、次のターン反撃に出る。


続く