バディファイト小説「託された想い 神撃!!アルティメット・ガルガンチュア・パニッシャー!!」

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前回→https://akahebi.hatenablog.com/entry/2020/02/25/205539

「託された想い 神撃!!アルティメット・ガルガンチュア・パニッシャー!!」


友牙と計のファイトはそれぞれの1ターン目を終え、再び友牙のターンを迎えていた。
「いくぜ、オレのターン。」
そう言うと友牙は腰からヘッドフォンを取り出し頭に装着した。
「ドロー、チャージ&ドロー。キャスト、《ドラゴニック・エクスチェンジ》。ゲージ1プラスした後、オレのゲージと手札を1枚入れ換える。」
友牙は自分の5枚のゲージを見た。
(ッ!?これは…。)
「どうした未門 友牙。 早く選びたまえ。」
「…オレは、このカードを手札に加える。」
友牙は1枚のカードを手札に加えた。
「キャスト、《ドラゴッド・サンシャイン》。ドロップのガルガとガルバードを手札に戻す。」
【友牙ライフ・13→12】
「もう一度、ライトにガルガをコール。」
「我が剣、友牙の為であれば何度でも振るおうぞ。」
「《覚醒神竜 ガルバード》をレフトにコール。」
「今度は、ミーがガルガ様と一緒に戦うバード。」
友牙はモンスターを揃え、攻撃の準備を整えた。
「《アルティメット・ガルガ》の『G・BOOST 極』発動。これでオレはもう1度ガルガたちをパワーアップできる。」
「フッ、君がいくらモンスターを並べようがボクのバディを倒すことなんて出来はしない。」
「確かに会長のバディは強い。でも、突破する方法がない訳じゃない!」
「何?」
「さっきの父さんのファイトがオレにヒントをくれた。キャスト、《ガル・E・ダッシャー》。タイムルーラー・ドラゴンを能力を無効にして破壊する。」
友牙の手から放たれた魔法がタイムルーラードラゴンを貫く。
「無駄だァ!未門 友牙!ボクにはこれがある。クロック-Ⅲ、発動。復活せよ。タイムルーラー・ドラゴン!!」
再びタイムルーラーが友牙たちの行く手を阻む。
「でもこれで、もうタイムルーラー・ドラゴンが復活することは無くなったぜ。いくぜ会長。『G-BOOST 心』の効果で1ドロー。」
「ならボクは、タイムルーラーの能力発動。ガルライト・レイピアをデッキの下へ。」
イムルーラーから放たれた攻撃を受け、友牙は武器を失った。
「更にキャスト、《クロノス・ぺリオ》。タイムルーラー・ドラゴンのソウル1枚とゲージ1を使い、君のモンスターたちの動きを封じる。」
「クッ!動けぬ…。」
「ミーも全然動けないバード。」
「まだだ。キャスト、《ガル・カモン》! オレはレフトに《覚醒神竜 ガルキャット》をコール。」
「ミーの代わりに頑張るバード。」
ガルバードがそう言うとレフトから姿を消し、新たにガルキャットが姿を現した。
「任せろキャット。バードたちの分までボクが頑張るキャット!」
「ガルキャットでセンターのタイムルーラーにアタックだ。」
「やってやるキャット!」
「ガルキャットの能力。攻撃した時、オレのライフをプラス1して会長に1ダメージだ。」
「クッ!」
【友牙ライフ・12→13】
【計ライフ・10→9】
「ボクの攻撃を喰らえキャット!」
ガルキャットの渾身の一撃がタイムルーラーにダメージを与える。
「余の『ソウルガード』。」
それでもタイムルーラーは倒れないしかし、
「ガルキャットの貫通と効果ダメージだ。」
【友牙ライフ・13→14】
【計ライフ・9→5】
「ガルキャット、2回攻撃だ。能力発動。」
【友牙ライフ・14→15】
【計ライフ・5→4】
ガルキャットはもう1度タイムルーラーに飛びかかった。
「チクチクと鬱陶しい!キャスト、《クロノス・アミナ》。攻撃を無効にし、ボクのフラッグが反刻した回数分ボクのライフを回復する。」
「弾かれたキャット~。」
「効果ダメージ!」
「クッ!」
【友牙・15→16】
【計ライフ・4→7→6】
「ガルキャット、3回攻撃。」
「3度目の正直だキャット!」
「能力発動。」
「クッ!」
【友牙・16→17】
【計ライフ・6→5】
「君たちの攻撃はボクには届かない。キャスト《クロノス・シン・ブロックエンド》。アタックフェイズを強制終了だ!」
「…オレのターンは以上。」

「…フ、フフフ、ハッハハハハーーーーッ!! 未門 友牙。君もボクには届かなかった。ついにこの世界をリセットし、ボクの『完全な世界』が実現する。」
「オレたちはまだ負けてない。ファイトが続く限り、オレたちは諦めない。」
「無駄な足掻きだね。」
そんな計にガルガが問う。
「神宮時 計よ。おぬしは、何故そこまで執拗にこの世界を消そうとする。」
その問いに計はしばらく沈黙した。
「答えよ!」
「それはね。」
そしてその問いに計は答え始めた。
「『ボクが敗北しない完全な世界』を創るためだよ。」
「何ッ?」
「ボクはね。昔から負けたことがなかった。全てにおいてボクは完全であり、それは未来永劫続くはずだった。でもね、ボクの人生において唯一の敗北があった。それが…」
その続きを友牙が答える。
「…バディファイト。」
「そう。何てことのないファイト、勝つことが必然、ボクが勝つべきファイトだった。しかし、その時ボクはほんの少しだけ油断していた。たったそれだけで、ボクはそのファイトに負けた。そして、その1回の敗北のせいで! ボクは人生を狂わされた!」
計は大きく取り乱した。計は一呼吸を置き、再び語り始める。
「だからね。全部無かったことにするんだよ。そうすればボクは完全なボクに戻ることが出来る。そうすれば…」
その言葉に友牙が言葉を返す。
「ファイトをすれば負けることもある。でも、その後は何で負けたか考えて努力する。そうすれば次のファイトはきっと勝てる。」
「…君も同じようなことを言うんだね。」
「えっ?」
「お喋りは終わりだ。これで全てを終わらせる。ゴッドクロックの能力発動!降臨せよ!《新なる時の支配者 ジ・エンドルーラー・ドラゴン》」
イムルーラーとゴッドクロックが1つとなり世界を破壊する禍々しい竜神が姿を現した。

ターンが計に移る。
「ボクのターン。ドロー、チャージ&ドロー。キャスト《クロノス・アルメーデ》。デッキの上から3枚を見て1枚を手札に加え、残りはゲージへ、更にライフも回復。」
【計ライフ・5→7】
計が友牙に問う。
「君の考えが手に取るように分かるよ。これが狙いだろ? 未門 友牙。」
「何のことだ?」
「とぼけなくて良いよ。君はさっきのファイトでボクの《オーバーゴッド“0”》の能力を知り、前のターン、ボクに手札を使わせた。」
「…」
「そしてボクに《オーバーゴッド“0”》を使わせず《ジ・エンドルーラー・ドラゴン》のままで戦うようにした。そして、それなら君の手札にある《ドラゴトラップ》で十分に守れる、そう考えた…違うかい?」
計の予測は当たっていた。その時の友牙の手札には確かに《ドラゴトラップ》があった。
「…そうだ。《オーバーゴッド“0”》は強い。でも、その能力には大量の手札とゲージを使う。それが弱点だ。」
友牙は先程の父のファイトを見てそこからオーバーゴッド“0”の対策を考えていた。
「ハハハッ!流石だよ。よく分析して対策している。」
しかし、計は焦るどころか余裕すら見せている。
「…でもね。それじゃまだ足りないんだよ。それを今から見せてあげるよ。」
「どういうことだ!?」
そう言うと計は1枚のカードを掲げる。

「これが世界を0に戻し、世界を創造する神を越えた存在。リターン・トゥ・ゼロ、《オーバーゴッド“0”(レイ)》!!!」

ジ・エンドルーラー・ドラゴンが姿を消し、再びゴッドクロックが計の頭上に出現した。そして、その中央の亀裂から計のバディが姿を現す。
「余は全ての理を越えた存在なり。人間よ、モンスターよ、世界よ、全て余に従え。」

「出てきたぞ、友牙。」
「大丈夫だ、ガルガ。会長の手札は4枚、ゲージも5枚。《オーバーゴッド “0”》の能力は使えない。」
「本当にそうかな…。」
計は自らの手札からもう1枚の《オーバーゴッド“0”》を友牙とガルガに見せた。
「もう1枚の《オーバーゴッド“0”》!?」
「あやつ、何をする気だ。」
「《オーバーゴッド“0”》はもう1枚の自分自身を捨てることでも能力を発動できる。」
「何だってッ!?」
「『永遠の時』発動!」
計のその言葉と共に友牙とガルガの時が止まった。
「残念だったね。未門 友牙。君は素晴らしいファイターだったよ。でも、完全な存在になるボクと《オーバーゴッド“0”》には絶対勝てない。」
友牙は沈黙している。
「君も父親と同じ所に連れていってあげるよ。セルペンティ、ファイターにアタック。能力でガルガをデッキの下へ。」
ガルガは抵抗することも出来ずセルペンティの剣に切り裂かれた。そしてその攻撃は友牙にも襲う。
【友牙ライフ・17→15】
「セルペンティ、2回攻撃。ランゲも続け。」
【友牙ライフ・15→12】
「これで終わりだ。未門 友牙。そしてこの世界も終わらせる。」
オーバーゴッド“0”は友牙に狙いを定め、その両腕に力を込める。
「余に逆らった人間よ。その愚かさを時の彼方で悔やむがいい。」
「やれ!《オーバーゴッド“0”》。この一撃で全てを終わらせる。」
オーバーゴッド“0”は友牙に攻撃を放った。
「リビディング・ザ・タイム!」
オーバーゴッド“0”の一撃が友牙を襲う。
その一撃は時空を歪ませ、周りの建物を崩壊させ、地上に無数の落雷を落とした。

ファイトが終わり、その場を立ち去ろうとする計。
「これでボクらの計画を邪魔する者はいない。過去を変え、『完全な世界』を創…」
「計よ。あれは何だ。」
オーバーゴッド“0”が唐突に計に問う。
「何って、何のこ…ッ!?」
計も同じ方向を見て驚愕する。
そこにはまだファイトステージに立っている友牙の姿だった。
「イテテテ、一体何が起こったんだ?」
状況を把握出来ていない友牙は周りを見渡した。
「…ッ!?これは!?」
友牙の目の前にあったのはオーバーゴッド“0”の攻撃から友牙を守るように存在する傷だらけの《ガルガンチュア・パニッシャー!!》だった。
「このカードは、オレが《ドラゴニック・エクスチェンジ》の時加えた『父さんのカード』…。」
友牙は先程の《ドラゴニック・エクスチェンジ》で父から託されたカード《ガルガンチュア・パニッシャー!!》を手札に加えていた。
「父さんがオレを守ってくれたのか?」
「…未門 牙王が守っただと、そんなことはありえない!! 未門 牙王はボクがこの手で存在ごと消滅させたはずだ!」
「そんなことはない!!」
「ッ!?」
友牙の気迫に計は1歩足を引いた。
「バディファイトで繋がった絆はそう簡単に消せるものじゃない! 父さんはオレを信じて託してくれた。だからオレも自分を信じる。最後まで。」
友牙がそれを口にすると《ガルガンチュア・パニッシャー!!》の傷の内側から新たな大剣が現れ、その姿を変えていった。
「新しいパニッシャー…。これが父さんがオレに託した思い…。」
(行け、友牙。)
「父さん…。」
友牙はそのカードを掲げ、計に放った。

「神撃!アルティメット!ガルガンチュア!パニッシャァァァーーーーー!!!」

その大剣は計の頭上に振り落とされ、その衝撃と爆煙が友牙と計を包む。
しばらくして、煙が晴れ、友牙と計の姿が現れる。
【友牙ライフ・12→1】
【計ライフ・7→2】
両者とも既に疲弊しきっていた。
「ハァ…ハァ。」
「ハァ…まだだ、まだボクのライフは残っている。完全な存在になるボクが負けるはずがない!」
「そうだ。まだファイトは続いてる。オレも最後まで諦めない。」
「次のターンで必ず君を倒す。勝つのはこのボクだ!」
「ここからが本当の勝負だ。会長!」

ターンが友牙に移る。
「オレのターン、ドロー、チャージ&ドロー。キャスト、《ガルカモン》。戻ってこい。ガルドッグ!」
レフトにガルドッグが再び現れる。
「友牙、オレの能力でもう一度ガルガ様を呼ぶドッグ。」
「分かった。手札1枚を捨て、デッキから《アルティメット・ガルガ》を手札に加えゲージ1プラス、そしてガルガをライトにそのままコール。」
3度、友牙のバディであるガルガが現れた。
「友牙よ、先程のターンはよく凌いだ。友牙が掴んだこのチャンス、無駄にはせん。」
「装備、《神竜剣 ガル・ブレード》。」
友牙は全ての手札を使い攻撃の体勢を整えた。
「『G・BOOST 極 』発動!」
「来い!未門 友牙!」
「いくぜ会長。このターンで決めてみせる。『G・BOOST 心』の効果で1ドロー。ガルドッグ、ファイターにアタックだ。」
ガルドッグが計に迫る。
「これで終わりドッグ。」
「まだだ。ボクは手札から《タイムジェネラル トゥボカス》の能力発動。このカードを手札から捨て、ライフをプラス3する。」
【計ライフ・2→5】
「あれは、父さんの必殺技を凌いだカード…。」
「ああ、その通りだ。でもトゥボカスには、もう1つ能力がある。ドロップのこのカードをデッキの下に戻すことで、ボクは、ボクのランゲと君のガルドッグを破壊する。」
「やられたドッグ。」
「今度はオレだ。」
そう言うと友牙は計に向かって駆け出し、計に武器を振るった。
「神竜剣ガルブレード!」
「そんなもの、ボクには通用しない。キャスト、《クロノス・シン・エンドデイ》。攻撃を無効にする。」
「クッ!」
「更に君のガルブレードをデッキに戻す。」
友牙は再び武器を失う。
「ガルブレードが!?」
「そしてボクは効果で1枚ドローだ。」
武器を失った友牙は計の目の前に着地し、計に語りかける。
「へへっ、やっぱり会長とのファイトは面白いぜ。」
「まだそれを言うのか。目障りだ。」
計は腕を降り、そんな友牙を拒絶した。
「オレは絶対に、このファイトで会長にバディファイトの楽しさを思い出させてみせる。」
友牙は後方へステップしてガルガに攻撃の指示を出す。
「ガルガ、ファイターにアタックだ。」
「神宮時 計よ。世界を変えようとも、それは己自身が変わるわけではない。」
ガルガが計に迫る。
「黙れ!ボクは完全な存在となる。キャスト、《ーカストラー》。ゲージとライフを増やし、1枚ドローだ。」
「我に効果ダメージあり。」
【計ライフ5→7→6】
まだ友牙の攻撃は終わらない。
「ガルガ、2回攻撃だ。」
再びガルガは計に剣を振るう。
「そして過去を変えたとしても、それは本当に無かったことにはならぬ。」
「黙れと言っている!キャスト、《クロノス・アミナ》。ライフを回復だ。」
「我の能力。」
【計ライフ・6→11→10】
「ガルガ、3回攻撃!」
「弱き己を受け入れるのだ。そして己自身で未来を切り開くのだ。」
「うるさい!キャスト、《クロノス・アミナ》。」
「クッ、我の能力。」
【計ライフ・10→15→14】
計はライフ2から友牙の攻撃を全て凌ぐだけでなく、ライフを14まで回復させた。
「これでボクは手札を使いきった…。でもこれで君の攻撃できるカードはもうない。今度こそボクの勝ちだ!」
「まだだ。オレたちにはまだこれがある。キャスト、《闘神の鼓動》。デッキの上4枚の中にドラゴッドのモンスターがいれば、コールコストを払ってコールできる。」
デッキのカードが1枚ずつ友牙の元へ向かう。
「この状況、まるでデジャブだね。」
「友牙よ。父にも出来たのだ。お前にも必ず引ける。再び我をコールするのだ。」
「ああ、必ず引いてみせる。」

1枚目《ガル・オラクル》

(違う…。)

2枚目《ドラゴンシールド 神・緑竜の盾》

(違う…。)

3枚目…

「ッ!?」

《アルティメット・ガルガ》

「友牙、よくぞ我を引き当てた!」
ガルガは思わず声を上げる。
しかし、
「ハハハハッ、未門 友牙。よく引き当てたと誉めてあげたいところだが…残念だ。」
「どういうことだ!?」
ガルガが計に問う。
「ガルガ、君たちのゲージをよく見たまえ。」
「ッ!?」
ガルガは驚愕した。
友牙とガルガに残されたゲージはあと1枚しか残されていなかったからだ。
《アルティメット・ガルガ》のコールコストはゲージ3、つまり今の状況ではコールできないカードだった。
「始めから無駄な事だったんだよ。君たちのデッキにゲージ1でコール出来るドラゴッドはいない。そして、このファイトはボクの勝利で幕を閉じる。」
計にそう告げられたガルガは思わず下を向く。
(またしても、我と友牙は届かなかったというのか。)
「まだだ!ガルガ!」
友牙はガルガに叫んだ。
「友牙?」
「終わらせない。オレたちの世界を。それにまだ、会長はオレとのファイトを『楽しい』って言っていない。」
ガルガの顔に笑みが零れる。
「まだそんなことを言っているのか。君たちに勝ち目はない。」
「余の理想は実現する。人間、お前たちの勝利する可能性は皆無。」
ガルガは立ち上がり友牙に答える。
「そうであったな友牙。我らは…」
「オレたちは…」
「「諦めない!!」」

(今まで出会ってきたファイター、スバル、マサト、アレク、ランマ、そして父さん。みんな…力を貸してくれ。)
友牙は自分のデッキに手を添えカードを引いた。


4枚目…


静寂。


友牙は自らの引いたカードを見た。

そして、友牙は微笑んだ。

「会長、これがオレたちの答えだ。ライトにコール!」
友牙が引いたカードは…

「オレのバディ、ガルガンチュア・ドラゴン!!!」

その声と共にガルガは姿を変えていった。
「我が剣の前に、敵は無し!!」
「《ガルガンチュア・ドラゴン》だとッ!?」
「友牙よ。この姿で闘うのは、随分久しく感じるな。」
「オレもガルガのその姿をまた見れて嬉しいぜ。」
目の前で起こったことを理解できない計。
「会長、このガルガは俺が初めてガルガと…バディファイトと出会った時の姿なんだ。」
「初めて…バディファイトと?」
「だから、会長にも思い出して欲しい。 初めてバディファイトした時の思い出を!! 楽しかった時の思い出を!!」
「ッ!?」

ーーーーーーーーーーーー

『なるほどね。ルールは大体分かったよ。』
『お、流石だな計。覚えるのが早くて助かるぜ。』
『じゃあ早速ファイトしようよ。』
『いいぜ。じゃあ始めの掛け声はさっき教えたやつな。』
『うん。』
『じゃあ、始めるぜ。せ~の…』

『『バディーファイッ!オープン・ザ・フラッグ!』』

ーーーーーーーーーーーー

そうか…ボクはバディファイトが…
「ガルガでファイターにアタックだ。そして効果ダメージ!」
「クッ!」
【計ライフ・14→9】
「ガルガ、もう1度ファイターにアタックだ!」
「我に、2回攻撃あり!!」
「グハッ!」
【計ライフ・9→4】
「認めん…認めんぞ。ガルガンチュア・ドラゴン!」
オーバーゴッド“0”が声を上げる。
「余の計画は絶対なり。余はこの世界を正しく導き『完全な世界』を創造する。そして正しき未来を創り出す。」
それにガルガは答える。
「未来とは皆平等だ。そして、己の間違いを認められぬ者に輝かしき未来はない!」
「黙れッ!!ガルガンチュア・ドラゴン!!」
オーバーゴッド“0”から放たれた複数の波動がガルガを襲う。しかし、ガルガはその攻撃をかわし、ファイトステージ中を駆け回る。
そして、オーバーゴッド“0”に迫り懐へ潜り込んだ。
「なめるなッ!」
オーバーゴッド“0”は至近距離で攻撃を放ち、ガルガを迎え撃つ。
「…ッ! 奴はどこだ!?」
オーバーゴッド“0”はガルガを見失う。
「我はここだ!」
オーバーゴッド“0”の遥か頭上にガルガは飛び上がっていた。
「行け、ガルガ! オーバーゴッド“0”にアタックだ。」
「我に、3回攻撃あり!!」
頭上のガルガは急降下し、オーバーゴッド“0”に迫る。
「おのれ…おのれェーーー!!」
「さらばだ。『時の神』よ。」
ガルガの刃がオーバーゴッド“0”を貫く。
「余は…余の行いは、間違っていと言うのかー!」
そう言い残すとオーバーゴッド“0”の姿は弾け、姿を消した。
【計ライフ・4→0】

ファイトステージにしばらくの沈黙が訪れる。
「オレたち…、会長に勝ったのか…?」
友牙は自分に問うかのようにそう呟いた。そして、自分の勝利を再認識し、
「やったぜ、ガルガ! オレたちの勝ちだ!!」
「友牙、我らの勝利だ。」
友牙はその喜びのあまりに飛び上がった。
「ウィナー、オレ!」
そして、空の暗雲は消えていき、崩壊したはずの建物が修復しを始めていた。
「うむ。どうやら、我らが勝利したことによりオーバーゴッド“0”が歪ませていた時間が修復に向かっているようだ。」
「そうだ!父さんはッ!?」
友牙が振り返るとそこには姿を取り戻しつつある父の姿があった。友牙とガルガはすぐに牙王に駆け寄った。
「うむ、案ずることはない。どうやら気を失っているだけのようだ。」
「父さんが無事に戻ってきて良かった。」
父の無事を確認し友牙は再び計の方を見た。
「友牙よ、父は我が見ておく。行ってやるのだ。」
「ありがとうガルガ。」
友牙はガルガにそう言うと計の方へ向かった。

計は友牙に敗北し床に倒れていた。
「ボクは、また負けたのか…。」
計は、自分が負けたファイトを振り返っていた。そこに友牙が駆け寄る。
「会長ーー!」
その声を聞き計は起き上がる。
「未門 友牙、ボクは…。」
友牙は計に手を差し伸べる。
「会長、オレ、今のファイトスゲー楽しかった。またオレ、会長とファイトがしたい!」
友牙は満面の笑みでそう言った。
計は、そんな様子の友牙を見て目を丸くする。
「クククッ、ハハハハハー!!」
計は唐突に笑い出した。しかしその笑い声は今までとはどこか違っていた。
「君はずっとそればかりだね。ボクの…完敗だ。でも何故だろう。以前ボクが負けた時とは何かが違う感じがする。」
「それは、会長がファイトを楽しんでたってことじゃないか?」
「このボクが?ファイトを楽しんでいた…。フフッ、そうかもしれないね。」
そう言うと計は、友牙が差し出した手を掴んで立ち上がった。
「君とのファイトは『楽しかった』。ボクも、また君とバディファイトがしたい。今ならそう思える気がする。」
「会長、次も負けないからな。」
「その『会長』と言うのも、もう終わりだね。時期にバディポリスがここに駆けつけてくるだろう。ボクが連行されれば、ボクはここの理事長でも生徒会長でもなくなりこのワールドバディアカデミアも閉校となる。」
「じゃあ、これからは計先輩だ。」
「え?」
「会長じゃ無くなったとしても、オレの中で先輩であることに変わりはない。だから計先輩だ。」
「…君はほんとにまっすぐだね。だからこそ、ボクも救われた気がする。友牙くん、またボクとバディファイトをしよう。でも、『次は』ボクが勝つ。」
「ああ、約束だぜ。計先輩。」
友牙と計は互いに再戦を約束し互いの手を強く握った。

ーーーーーーーーーーーー

友牙くんとのファイトの後、バディポリスがすぐにボクたちの元へ駆け付けた。ボクのバディのタイムルーラー・ドラゴンは、イリーガルモンスターとしてバディポリスに拘束されバディポリス本部へ連行された。
ボク自身も、事情聴取を行う為バディポリス本部へ向かう車の中だ。その車はバディポリスの長官自らが運転していた。
「君に、会わせたい人がいる。」
龍炎寺さんは突如ボクにそう告げた。
「どういうことですか? ボクは今、事情聴取に向かっているんですよね?」
「それは、みんなの前で僕が君を連れて行く為の建前さ。」
「生憎ですが龍炎寺さん、今のボクにわざわざ会ってくれるような人なんていませんよ。」
そうだ。ボクは先程まで、この世界を滅ぼそうとしていた人間だ。そんなボクに会ってくれるような人なんて…
「ほんとにそうかな?」
龍炎寺さんはそう言うと、ボクに1枚の冊子を渡してきた。
「なんですか?…これは、学校のパンフレット?」
「会わせたい人は今その学校にいる。」
「こんな学校にボクに会ってくれる人がいるようにはとは思えませんね。」
「…4ページ目の右上の写真、よく見ると良い。」
ボクは龍炎寺さんの言う通りに、その写真を見た。そして、ボクはその写真を見て驚いた。
「ッ!?」
「彼は今、この学校で生徒会長をやっているらしい。君と同じようにね。」
その写真にはボクにとって懐かしくも思える姿が写っていた。
「僕もね。君ぐらいの頃に悩んでいたことがあった。君と同じく世界を変えてしまいたいと思うぐらいにね。でも僕にも君と同じく間違った道から戻してくれた友達がいた。そして僕は、自分の弱さを受け入れ前に進むことができた。だからね計くん、君にも…」
龍炎寺さんはボクの方を見て、そこで言葉を止めた。
ボクの握るパンフレットは濡れていた。
この時、ボクはやっと思い出せた。
そうだ。ボクは『僕が負けない完全な世界』を創りたかった訳じゃない。ただボクは、彼に謝りたかった。ただそれだけだったんだ。
「君にはやり直す時間がある。違うかい?」
ボクは腕で自分の顔を押さえた。
「…はい。…ありがとう、ございます。」
ボクの中で、止まっていた時間が再び時間を刻み出す音が聞こえる。そんな気がした。

ーーーーーーーーーーーー

玄関の前で友牙と牙王は別れの挨拶をしていた。
「父さん、もう行っちゃうのかよ。」
「そんなこと言うなって友牙。またすぐに帰ってるから。」
そういうと牙王は友牙の頭を撫でた。
友牙はポケットからカードを1枚取り出した。
「これ、父さんのカードだから返すよ。」
「いや、それは次に会う時まで友牙が預かっててくれ。」
「でも…。」
「お守りだとでも思っててくれ。」
そういうと牙王は友牙に微笑んだ。
「…分かったよ。このカードはそれまで預かってる。」
そう言うと友牙はカードをしまった。
「オレ、次に父さんと会う時までにもっと強くなる。」
友牙は牙王に拳を突き出す。
「お、それは楽しみだぜ。じゃあ、俺はもっと強くならねぇとなあ。」
牙王も拳を出し、友牙の拳に合わせる。
「友牙、次会ったときはまたバディファイトだぜ。」
「うん、約束だ。父さん。」
2人は再戦を約束した。
「牙王ちゃ~ん、そんなことしてて飛行機の時間は大丈夫なの~?」
そんな2人に水を刺すようにパル子が声をかける。
「やっべ、もうこんな時間じゃねぇか! そういうことだから友牙またな~~!」
そう言うと牙王は急いで家を後にして空港へ向かった。
「あはは、父さんは相変わらずだなぁ。」
「友牙、あなたも学校でしょ。」
「やっべ、そうだった! 母さん、ハルは?」
「友牙と違ってもうとっくに出掛けたわよ。」
「急がないと遅刻だ。母さん行ってきま~す。」
「あの父親にしてこの子ありね。」
友牙を見送りながらそう思うパル子だった。

その日の放課後。
友牙はファイトステージにいた。
「本日のショップ大会の決勝戦の対戦カードは初等部6年未門友牙と同じく初等部6年アレクサンドル・アンク!実況は私、奈々菜イオンでお送りします!」
「友牙よ、オレは今日こそお前に勝ってみせるぞ!」
「いいぜ、アレク。お前が相手なら不足なしだぜ。」
「2人共、ドラゴッドの使い手。素晴らしいファイトが期待できます! それでは2人共、準備は良いですかー?」
イオンがファイト開始の準備を進める。
「では、皆さんの掛け声と共に始めちゃいたいと思います!ではいきますよー。せーの…」

「「バディーファイッ!オープン・ザ・フラッグ!」」

「いくぜ、ガルガ!」



あとがき

こんにちは赤蛇で最後まで読んで頂きありがとうございますm(_ _)m
初めての小説でしたが全3話の最後まで書いてとても楽しかったです。

ファイト中盤のオーバーゴッド0とパニッシャーでお互いライフが1と2になる展開で接戦って感じにしました。
アルティメットガルガンチュアパニッシャーフィニッシュも良いんですけどファイトの最後があっけない感じになりそうだったのでちゃんと最後まで戦うようにしました。
そしてファイトの最後ですがやっぱりテンプレですが初期切り札で決めるのはカードゲームの最終回の流れとしては良いですよね(笑)
過去を否定する計に対してあえて最初のガルガで戦うことで過去と向き合う大切さを表現しました。

ファイト後の計とタスクの会話のシーンは書いてる途中でタスクと計似てるなあと思ったので急遽入れました。
2人とも大人っぽいのに考え方がどこか幼い感じがありますよね。

牙王と友牙のシーンの友牙が出したカードは分かると思いますが「ガルガンチュアパニッシャー」ですね。
牙王はあえて受け取らずまたもう1度会おうと言う意味で友牙に預けて出発しました。
「次に会うときまで預けておく」は人生で言ってみたい台詞トップ10に入りそうですね(笑)

長くなりましたが神バディファイト小説は以上となります。
2回目になりますが最後まで読んで頂きありがとうございます。(圧倒的感謝)
書いていて楽しかったのでもしかしたらまた書くかもしれないし書かないかもしれません。(どっちやねん)
まあ気が向いたらまた書くかもしれないのでまた読んで頂けると嬉しいです。
その時は、もしかしたらバディファイトかもしれないしバディファイト以外かもしれません。
それではこの辺で終わろうと思います。


ではまた次のブログで


原作 フューチャーカード バディファイト

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