バディファイト小説 「世界をかけた闘い 未門 友牙vs神宮時 計」

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前回→ https://akahebi.hatenablog.com/entry/2020/02/18/133327

「世界をかけた闘い 未門 友牙vs神宮時 計」

放課後の誰もいない図書室。
ボクがこの学園で1番好きな場所だ。誰も邪魔されない静かなボクだけの世界。ここで毎日本を読むのがボクの日課だ。
「さて、今日はこの棚の本にしてみようか。え~と、…ん?『時間改変による平行世界の創造』。なかなか面白そうなタイトルだね。よし、今日はこの本を読んでみるとしよう。」
ボクはその本を手に取り、いつも使っている窓際に最も近い席に座った。
早速読んでみようと、表紙に手をかけたその時だった。ボクの静かな世界は終わりを迎えた。
赤髪の少年が図書室の中に入ってきた。
「よう!計!やっぱりここにいた!」
「シン、何度言えば分かるんだ。ここは図書室だ。静かにしたまえ。」
彼の名は、黒野 シン。初等部に入ってからの付き合いで何かとボクによく絡んでくる。あと、うるさい。
「えー、別に良いじゃん。オレと計しかいないんだしー。てかいつも本ばっか読んでるけど、面白いかそれ?」
「何を言うんだシン。本は人類が誇るべき英知の結晶さ。過去の人物たちが今のボクらに残した記録だからね。過去を知れば今を知れる。今を知れば未来も知れるんだよ。」
「はいはい、出ましたよ計さんの本の虫。」
彼の言動はいつもボクのペースを狂わせる。柄にもなく熱く語ってしまった。
「ところで今日は何の用だい?」
「おっと、そうだった。計、お前に良いもの見せてやるよ。」
そういうとシンはポケットから1枚の白いカードのような物を取り出し、ボクに差し出した。
「何だいこれは? バディ…ファイト?」
「これ、今オレのクラスで流行ってて、クラスの奴らみんなやってるんだぜ。計も一緒にやろうぜ。」
どうやら、新しいゲームをボクに薦める為に来たらしい。バディファイト、名前だけは聞いたことがある。世界中で多くの人が夢中になっているカードゲームだ。
「悪いけどボクはやめておくよ。それより早くこの本を読まないと…。」
ボクはそう言うとシンは何か閃いたようにニヤりと笑い、ボクに背を向けた。
「まあそうだよなー。『万能の神』って言われてる計さんにも、出来ないことの1つや2つぐらいあるよなー。」
分かりやすい挑発だ。そんなことでボクがやる気になるとでも思っているのか。
「分かりましたよ。じゃあオレはクラスの奴らとファイトしてく…」
「ちょっと待つんだシン。」
シンはこちらに振り返った。
「ボクを誰だと思っている。『勉強』、『スポーツ』、そして『遊び』に関してもボクの辞書に不可能の文字はない。『バディファイト』、やってやろうじゃないか。」
つい、シンに乗せられてしまった。そんなボクを見るシンの顔は「してやった」と言うような顔をしていた。
「そうと決まれば早速ファイトしようぜ。」
「望む所だ。」
シンはボクの正面の席に座り、ボクと向き合った。
「シン、君に1つ聞きたいんだが。」
「いいぜ、計。あーだけど手加減してくれとか情けないことは言ってくれるなよ。」
「いや、そうではなくてね…。」
「なんだよ。勿体ぶらずに早く言えよ。」
「…これ、どうやって遊ぶんだい?」

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ワールドバディアカデミア ファイトステージ

そこには2人の少年たちが過去、現在、そして未来をかけ、対峙していた。

「神を極めし無敵のドラゴン、ここに降臨! ルミナイズ、アルティメット・神ドラ!」

「真実の時が終わりを告げ、ここに永遠が完成する。時よ止まれ。ルミナイズ、ジ・エンド・ゼロ!」

「「バディーファイッ!オープン・ザ・フラッグ!」」


「ドラゴンワールド!」

「ゴッドクロック!」

計の頭上に巨大な時計が出現する。

「アルティメット・ガルガ!」

その声と共に友牙のバディ、ガルガが出現する。
「友牙よ。この闘い、必ず我ら力で勝利を掴むぞ。」
「頼むぜ。ガルガ!」

「時の神 タイムルーラー・ドラゴン!」

牙王の時同様、計のバディはファイトが始まっても姿を現さない。

「オレの先攻だ。ドロー、チャージ&ドロー。キャスト、《ガルガンチュア・エヴォリューション》。デッキから『G・BOOST』を持つモンスターを3枚選びシャッフル。会長、1枚選んでくれ。」
「では、そのカードだ。」
計が選んだカードが友牙の手札に加わり、残りの《ガルガンチュア・ナイト・ドラゴン》と《ガルガンチュア・ブレイドケンタウルス》がドロップゾーンに送られる。
「《覚醒神竜 ガルドッグ》をレフトにコール。」
「俺も友牙とガルガ様と一緒に戦うドッグ。友牙、俺の能力でガルガ様を呼ぶドッグ。」
「ありがと、ガルドッグ。能力発動。オレは手札の《ガルガンチュア・スラッシュ・ワイバーン》を捨て、デッキから《アルティメット・ガルガ》を手札に加えゲージ1プラス。」
ガルドッグの遠吠えが主を呼ぶ。
「オレは、《アルティメット・ガルガ》をライトにバディコール!」
【友牙ライフ・10→11】
「我は『究極の神』。鍛えられた我が剣、受けるが良い。」
「装備、《神竜光剣 ガルライト・レイピア》。」
【友牙ライフ・11→10】
「そして『G・BOOST 極』、発動!《アルティメット・ガルガ》はドロップの『心』『技』『体』の能力を得ることができる。これでオレの場のカード全ては、攻撃力プラス100万5千、打撃力プラス2、貫通と3回攻撃を得て、バトルの度、オレのライフをプラス1して、会長にダメージ1を与える。いくぜ、『G・BOOST心』の効果で1ドロー。 」
友牙はガルガに攻撃の指示を出す。
「ガルガ、ファイターにアタックだ。」
「心得た!」
ガルガは自らの剣を構え、計に迫る。
「その攻撃はボクには届かない。クロック-Ⅱ、発動。」
その声と共にガルガの動きが止まる。
「まだだぜ。『心』の能力でオレのライフをプラス1して、会長にダメージ1だ。」
【友牙ライフ・10→11】
【計ライフ・10→9】
「クッ!」
「オレのターンは以上。」

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ボクは、休日シンに連れられ、とある場所に来ていた。
「オレ、今日は計とどうしてもこの場所に来たかったんだ!」
シンに連れてこられたのは、バディファイトの商品を取り扱っているカードショップだった。
「計、今日はここでショップ大会あるんだけどお前も当然出るよな?」
ショップ大会、バディファイトをする子供たちが集まり、優勝者を決めるイベントらしい。
「ショップ大会か。初めてだが…出てみるのも悪くないだろう。シンは、ここのショップ大会に出たことはあるのかい?」
「オレはここのショップ大会には数え切れないぐらい出てるぜ!まあ、だいたい初戦負けなんだけどなぁ。は、はは…」
シン曰く、ここのショップは他のショップより人が多く集まる分、レベルもそれだけ他より高いらしい。
「まあ、計なら大丈夫だよな。なんたって、バディファイト教えた日から『1度だって負けてないんだからさ』。」
「お世辞はよしてくれ。シンの教え方が上手かっただけさ。」
ボクは昔から何でも飲み込みが早かった。だから今まで敗北と言う敗北を経験したことがなかった。
「じゃあ早速、大会のエントリーしようぜ。」
「そうだね。」
「そうだ計、この大会が終わったあと話したいことがあるけどいいか?」
「それは構わないが、今ここではダメなのかい?」
「今はダメなんだ。大会終わった後で必ず話すからさ。とりあえず今は大会楽しもうぜ。」
シンは何か隠している様だったが、今は気にしないことにした。それに、大会が終われば分かることだ。
それよりもボクは胸の奥に何とも言えない高揚感を覚えていた。
そうして、ボクたちは大会のエントリーに向かった。

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ターンが計に移る。
「ボクのターン。ドロー、チャージ&ドロー。ボクは完全な存在となる。それを邪魔する者は、誰であろうと許さない。クロック-Ⅰ、発動。デッキの上3枚から新たなカードを1枚手札に加える。更に、レフトに《タイムスカウト ランゲをコール、ライトに《タイムジェネラル セルペンティ》をコール。ランゲの能力で2枚ドロー。そして…」
「友牙よ、来るぞ。」
ガルガに言われ、友牙は身構える。
「これが、ボクのバディにして新たな世界を創造する神、センターにバディコール!《時の神タイムルーラー・ドラゴン》!」
【計ライフ・9→10】
暗雲から純白の竜神が姿を現す。
「余は一にして全。人間よ、余の前に立つことを愚かと知れ。」
「いくぞ、未門 友牙。」
「ガルガ、センターに移動だ!」
ガルガが友牙を守るようにセンターに移動した。
「友牙に攻撃したければ、まずは我を倒すのだな!」
「ならそうさせて貰うとするよ。セルペンティ、ガルガにアタックだ。」
セルペンティがガルガに迫る。
「セルペンティの能力発動。ボクのフラッグが2回以上反刻していれば相手のモンスターを1枚デッキの下へ。当然戻すのはガルガだ。」
セルペンティの剣にガルガが切り裂かれる。
「何のこれしき…。『ソウルガード』!」
「そしてこれがセルペンティの攻撃だ。」
セルペンティの2度目の剣がガルガを貫く。
「ぐぬゥ、まだ倒れる訳にはいかん。『ソウルガード』だ!」
「流石にしつこいね。タイムルーラー、ガルガにアタックだ。」
イムルーラーが迫り、ガルガがそれを迎え撃つ。タイムルーラーが振り落とした杖をガルガは自らの剣で受け止める。
「ガルガンチュア・ドラゴンよ。世界は再生を望んでいる。この世界は失敗し、今尚、破滅に向かっている。余に従い、この世界を再構築するのだ。」
「フッ、タイムルーラー・ドラゴンよ。それは出来ぬ相談だ。」
「何故だ?」
「この世界は今この時を生きている皆の物だ。我ら神々であってもそれを奪うことは決して許されることではない。そして、この我にも今この世界で守らなければならぬ者がいる。」
そう言い、ガルガは友牙の方を見た。
「その者の為にもこのファイト、我は…我らは決して負けるわけにはいかんのだ!」
「そうか残念だ。…ならばこの世界と共に消えるがいい。」
イムルーラーはガルガの剣を弾き、距離を取った。
そして、その杖からガルガに向けて攻撃を放った。
その攻撃を受けたガルガは破壊されてしまう。
「ぐぁぁ!!」
「ガルガ!」
「よしタイムルーラー、そのままファイターにアタックだ。」
イムルーラーはそのまま杖から友牙に攻撃を放った。
「キャスト、《ドラゴンシールド 神・青竜の盾》。攻撃を無効にしてゲージを3プラスだ。」
「チッ。セルペンティ、ファイターにアタックだ。能力でガルドッグをデッキに戻す。」
セルペンティがガルドッグに剣を振り下ろす。
「友牙、後は頼むドッグ!」
「ああ、任せてくれガルドッグ!」
そして狙いを友牙に移し友牙に斬りかかった。
「キャスト、《ドラゴンシールド 神・緑竜の盾》。」
【友牙ライフ・11→14】
「行け、ランゲ。」
「クッ!」
【友牙ライフ・14→13】 
「これでボクのターンは終了だ。次は君のターン…だが君にボクのタイムルーラーは倒せはしない。」
「…」
「どうした? 未門 友牙。何か言ったらどうだ。」
「……ハ…ハハ、ハハハハハッ!!」
友牙が突然笑い出し、それを見た計は大きく動揺した。
「な、何故笑っている!?何がおかしい!?」
「ハハハ、だってそうだろ会長。こんなに面白いファイトしてるのに笑わずにいるなんて無理だって。」
「面白い…だと…。」
「ああ、こんな凄いファイターとこんなに面白いファイトができる。だからバディファイトは楽しんだ。だから会長、オレも次のターン、会長の全力にオレも全力で答えるぜ。」
「楽しい…だと、ふざけるな!! バディファイトは互いの優劣を決める手段でしかない。勝利以外に価値はない。ましてや、楽しさなど…そんなものは必要ない!」
「そんなことはないぜ会長!バディファイトは楽しいゲームなんだ。それをオレたちが見せてやる。いくぜ、オレのターン!」

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ボクは今、初めて出場したショップ大会の決勝の舞台にいた。
「計ー!このターンが勝負だぞー!」
一緒に参加したはずのシンはあっけなく初戦敗退し、2回戦からずっとボクの応援をしてくれている。
「分かってるよシン、必ずこのターン凌ぎきってみせるよ。」
そしてボクの対戦相手はボクと同じぐらいの年の少年だった。そして今その少年の攻撃がボクに迫っている。
「いけ。センターに貫通攻撃だ。」
「クッ!」
【計ライフ・5→3】
「これでトドメだ。ファイターにアタック!」
彼のモンスターがボクに迫る。
しかし、ボクの手札には《ドラゴンシールド 青竜の盾》と《ドラゴンシールド 緑竜の盾》がありこの攻撃は十分守れる。その時、ボクは別のことを考えていた。
(彼に攻撃できるカードはもうない。この攻撃を防いで、次のボクのターンで攻撃を仕掛ければボクは勝てる。しかし、警戒しなければならないのは彼の必殺技だ。)
そう思い、ボクは彼のゲージの枚数を確認した。
(彼のゲージは0枚。彼がこの後、必殺技を使える可能性はかなり低い。ならば次のボクのターンを見越して、ライフを増やす緑竜の盾でなく、ここは…)
「キャスト、《ドラゴンシールド 青竜の盾》。ゲージ1プラスします。」
その瞬間ファイトステージの外から大きな歓声が上がった。
「流石、計だぜ!本当に凌ぎきりやがった。」
シンのその声を聞き、ボクは自分の勝利を確信していた。
その時だった。
「キャスト、この魔法でゲージ2プラスだ。」
「何、ここでゲージを増やした!?」
確かにボクは『必殺技』の警戒をしていた。しかし、そればかりに器を取られていたボクは『対抗魔法』の警戒を怠っていた。
「ファイナルフェイズ、キャスト、この必殺技で3ダメージだ!」
「うわぁぁ!!」
【計ライフ・3→0】
そしてその日ボクは、バディファイトで初めて、いや…人生で初めて敗北と言うものを味わった。

ファイトが終わり、ボクはファイトステージを後にした。出口にはボクを待ってくれているシンの姿があった。
「惜しかったな。あそこでまさか必殺技があるとはな~。」
惜しかった?違う。あれはボクのミスだ。
「でも計もすげぇよな!直前で青竜の盾で防いだ時、オレ思わず叫んじゃったもん。」
違う。あそこでボクが使うべきは緑竜の盾だった。そうすれば、そうすればボクは勝っていた。
「今回は負けちゃったけど次はきっと勝て…
「うるさいな!何も知らない癖に!勝手なことを言うなよ!!」
ボクの声に反応し、周りの人たちがボクたちの方を見た。
「計…ごめん。オレ、そんなつもりじゃ…。」
ボクはその空間に耐えられなくなり思わずシンを置いてボクは逃げ出してしまった。
「おい、待てよ。計!」

次の日、ボクは学校の図書室で机に座りながらシンのことを考えていた。
(昨日はシンに酷いことを言ってしまったな。ボク自身のミスなのにその苛立ちを彼にぶつけてしまった。シンが今日ここに来た時ちゃんと謝ろう。)
しかし、いくら待ってもその日シンが図書室に現れることはなかった。
(今日は来るのが遅いな。昨日のことをシンも気にしているんだな。ここはやはり、ボクから謝りに行くべきか。)
そう思い、ボクは図書室から出てシンの教室に向かった。

シンの教室に着くと、教室にはまだ何人かの生徒が残っていた。しかし、そこにシンの姿はなかった。
「失礼します。誰かシンがどこにいるか知らないかな? ちょっと伝えたいことがあるんだけど。」
ボクがそういうと生徒たちは不思議そうに顔を見合せていた。そして1人がその問いに答えた。
「シンなら転校したって、今日の朝、うちの先生が言ってたよ。」
「えっ?」
他の生徒も続くように答えた。
「なんか親の仕事の都合で急に引っ越すことになったんだって。お別れ会も出来なくて残念だってみんな言ってたよ。」
思わぬ返答に思考が追い付かなくなる。
「…そうか、変なことを聞いたね…。ありがとう。」
そう言い残してボクは教室を後にした。
(そうか、あの時ボクに話したいことがあるってこのことだったのか…。それなのにボクは…ボクは…!)
ボクはボクの中から出てくる感情に押し潰されそうだった。
(ボクがあの時、負けなければ…シンと喧嘩することもなかった。ボクが負けなければ…!)
その時だった。どこからかボクを呼ぶ声が聞こえた。
「人間、お前の望みは何だ?」
「誰だ?」
「余の問いに答えよ。」
ボクは何者かに呼ばれ、その声がする方へ無我夢中で走り出していた。
「人間、お前の望みは何だ。」
「ボクの望み…。」

その声に導かれるまま走っていると、ボクはいつの間にか学園を飛び出し、とある橋の上に立っていた。
「ハァ…ハァ、君はいったい誰なんだ。姿を現せ!」
その瞬間ボクの目の前が光に包まれた。そしてその中からボクのその言葉に答えるように声の主は姿を現した。
その姿は今までボクが見たこともないような…そう、まるで天使のような翼を持つ巨大な竜だった。
「君は、バディモンスター…なのか?」
その問いに竜は答えた。
「余の名は、『時の神 タイムルーラー・ドラゴン』。この不完全な世界を正しく導く存在なり。」
「世界を…正しく…導く。」
「人間。余は、余のバディとなり共にこの世界を『リセット』させ『完全な世界』を創造するバディを探している。」
「『リセット』って、まさか時間を巻き戻そうって訳じゃないだろうね。」
ボクは冗談だろうと笑いながらそう言った。
しかしその時、今まで気づかなかった異変に気づいた。飛んでるはずの鳥も、橋の下を流れているはずの川も不自然に動きを止めている。
「やっと気づいたか人間。今、余とお前以外の全ての物の時は静止している。余は『時の神』。万物の時間を司る存在なり。」
ああ…そうか、このモンスターが言っていることは冗談なんかじゃない。このモンスターにはそれだけの力がある。
「君の『リセット』と言うのは、過去を変え、君が望む『完全な世界』を創り出す。そう言うことだろ?」
「理解が早いな人間。そして、お前は余に選ばれた。余のバディとなり、余と共に『完全な世界』を創造するのだ。余の力を持ってすれば、未来を知ることも、この時を永遠にすることも、間違った歴史を修正することも可能だ。人間、もう一度お前に問う。」
ならボクは、このモンスターとバディとなる。そうすれば…
「人間、お前の望みは何だ?」
ボクは…
「ボクは、『ボクが敗北しない完全な世界』を創る。この時間、この世界を0に戻す。」
「…面白い答えだ人間。では今より余はお前のバディとなろう。」
「交渉成立だね。あとその『人間』ってやつ。止めて貰えないかな。ボクには『神宮時 計』ってちゃんとした名前があるんだ。バディになるなら名前で呼んで貰わないとね。」
「余に命令するか、ますます面白い。では計。計と余は今よりバディとなる。」
「ボクこそよろしく。タイムルーラー・ドラゴン。」
そう言ってボクの手がタイムルーラー・ドラゴンに触れた途端、タイムルーラー・ドラゴンはカードとなってしまった。それと同時にボクら以外の止まっていた時間が進み出した。
「早速だけど、ボクは何をすれば良いのかな。」
「計、ワールドバディアカデミアを設立しろ。」
「何だいそれは?それも君の未来視の力なのかい?」
「余の力を高める為、世界各地から優秀なバディモンスターとファイターを集め、学園を設立しろ。余の見た未来ではそうなっている。」
「そうか、分かったよ。」
そして、ボクは新たな道を歩み始めた。もう『2度』と…いや、『1度』も失敗しない為に。
「では始めようか。ボクたちの『完全な世界』の創造を!」


続く



あとがき

こんにちは赤蛇です。
最後まで読んで頂きありがとうございますm(_ _)m

今回は以前書いた牙王vs計の続きとなってます。内容としては半分以上計の過去について触れてます。
だいたい今から3~4年前、計が初等部だった頃をイメージして書いてます。
そしてその過去を僕が書くに至って必要だった存在があります。それが、

黒野シンです

今回の小説は、僕自身が考えたキャラクターを登場させました。
原作にいないキャラをわざわざ登場させたことには理由があって、「神バディファイト」という作品は主に『友達』を題材にした作品です。なので『神宮寺 計』というキャラクターを掘り下げる為にどうしても親友というポジションのキャラが必要でした。
でも、そのお陰で計が何故そこまで1度の敗北に固執するのかがうまく書けたかなと思います。
(ちなみに、彼の名前は計の使う魔法カード「クロノス・シン~」からもじったものです。)

そして今回の1番のポイントは、計のミスである青竜と緑竜の選択ですね。
僕も、バディファイトを初期からやっているのでこういった選択のミスで負けたことも何度もあります。自分の予想外の展開で敗北してしまう。そういったことも含んでのバディファイトの面白さかも知れませんね。
友牙も計にそれを伝えるために頑張ってます。

そして、次の話で友牙と計のファイトが決着します。最後までどんな決着になるか分からない…そんなファイトにしようと思います。
そしてファイトが終わり、『神宮時 計』は何を思うのか…そういった所にも注目して貰えると嬉しいです。

ではまた次のブログで


原作 フューチャーカード バディファイト

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