バディファイトRe:B小説 第1話「集まれ最強ファイター SSSカップ始動」

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第1話
「集まれ最強ファイター SSSカップ始動」


相棒学園屋上

「ファイナルフェイズ!キャスト、神ガルガンチュアパニッシャー!」
「僕の負けだ。友牙、また腕を上げたんじゃないか?」
「いや、スバルだって強くなってるぜ。オレ、途中で負けるちゃうかと思っちゃったぜ。」
「よっシェア!友牙、スバル。2人ともナイスファイトだったぞ!」
友牙、スバル、マサトは3人でファイトを楽しんでいた。3人は昼休みの間、いつもここでファイトしている。
「やっぱりみんなとファイトするのは楽しいな。でもオレ、もっと、もっとたくさんのファイターとバディファイトしたいな。」
「そうだね。多くのファイトは僕たちにとって必ず有益な時間になるだろう。」
「でも友牙、最近はでかい大会は特にないからそれは難しいかもしれないな。」
「えー、そうなのか!?せっかくこんなにファイトしたいのに…」
友牙たちがそう話していると1人の老人が声をかけて来た。
「おー、そこのこわっぱ達、何やら楽しそうな話をしておるのう。」
友牙たちはその声の老人へ視線を向けた。その容姿は、顔にはサングラス、口にはパイプのようなもの、足にはサンダル、手には釣竿という何とも斬新なアイテムの組み合わせだ。特に特長的なのは、薄いシャツの胸の部分に大きく書いてある友と言う文字だろう。
「え、じいちゃん誰?相棒学園の先生?」
「いや、この学校にこのような老人の教師はこの学園にはいないはずだ。」
「俺も部活の助っ人で色んな顧問の先生はよく見てるが、こんな人は見たことないぜ。」
3人ともその老人のことは知らない様子だった。老人はそのまま友牙たちに近づいて来た。
「ワシか?ワシはの…

グゥ~~~~

「今、ちょ~腹が減っとるんじゃ!」
その老人の言動に3人は思わずこけそうになった。
「アハハ…じゃあオレのクッキーあげるよ。丁度午前の調理実習で作ったんだ。」
「おー!」
そう言って友牙がクッキーを差し出すと、老人は物凄い勢いで1枚だけ手に取り、どこからともなく包丁を取り出した。そして物凄い勢いでクッキーを切り始めた。
「じいちゃん何してるんだ?」
友牙が質問すると老人はクッキーの一切れを摘まんだ。
「朝、昼、晩、これを一切れずつ食べれば1ヶ月は持つ。」
「いや、持たないよ!」
「これぞ、倹約の極意じゃ。」
そういうと老人はその一切れを口に放り込んだ。
「いや~、助かったぞ~。何せ3日も何も食べてなかったからの~。そういえばこわっぱ達、さっきは何やら大会等と話しておったが…こわっぱ達はバディファイターなのか?」
「そうだぜ。オレ達バディファイトやってたんだ。…あっ、そうだせっかくだからじいちゃんにオレ達のバディを紹介するよ。」
友牙がそういうとガルガ、クロス、アギトがSDの姿で友牙達の隣に現れた。
「紹介するぜじいちゃん。こっちは…
「ガルガンチュア・ドラゴンじゃろ。」
「え?」
「そしてお主は未門友牙。ワシが知っておるのはお前たちだけじゃないぞ。そっちのツンツン頭は、星詠スバル。そしてそのバディ、クロス・アストルギア。そっちのバンダナは陸王マサト。そしてそのバディアギト。」
老人は友牙が名乗る前に友牙達の名前を次々と言っていった。そんな如何にも怪しい老人にガルガが問う。
「ご老人、何故に我らの名前を名乗る前から知っていた?それにその隙のなさ…、只者ではないな。」
「どういうことだガルガ?オレにはこのじいちゃんは普通に立ってるだけに見えるけど…。」
「友牙、お前達には分からぬだろうが武の道を極めた我には分かる。このご老人は隙だらけのように見えて、お前達と会ってから一瞬も隙がない。」
そんなガルガの真剣な問いにはぐらかすかのように老人は答えた。
「ワシはそんな大した者じゃないわ。そういえばワシの名を問われて答えてなかったの~。ワシの名はぶんぶくじゃ。皆からは師匠と呼ばれとる。今日はお前たちにこれを渡す為に来たんじゃ。」
自分の名をぶんぶくと名乗った老人は、友牙、スバル、マサトに1通ずつ封筒を渡した。
「なんだこれ?」
「何やら招待状のようだが?」
「おい、2人とも裏に何か書いてあるぞ。これは…大会の名前か?『ぶんぶく主催 SSSカップ』?」
「そうじゃ、『SSSカップ』と言うのはじゃな…
「そこからは、ボクが説明するポコーーー!」
ぶんぶくがそこまで口にするとぶんぶくの髪の毛から小さいタヌキのようなモンスターが現れ、言葉を遮った。
「これ!でかタヌキ!せっかくのワシの仕事を取るでない!」
「さっきから見てたけどポコ!師匠の話し方は回りくどいから全然話が進まないポコ!」
「ガーーン。」
デカたぬきと呼ばれたモンスターに鋭く指摘されぶんぶくはその場にうずくまってしまった。
「コホンポコ。ボクの名前はデカたぬき。師匠に変わってボクが『SSSカップ』の説明をするポコ。」
「デカたぬきって名前の割にはそこまで大きくないような…なんか可愛いな。」
「可愛いじゃないポコ!」
名前と容姿の違いを指摘した友牙をでかタヌキは力強く否定した。
「ごめんって。それでその『SSSカップ』って何なんだよ。」
反省を示した様子の友牙を見てデカたぬきは話を進めた。
「まあ良いポコ。では本題に入るポコ。『SSSカップ』と言うのは『史上最強最高ファイター決定戦』、時空を越えて本来出会わないはずの最強ファイター達で真の最強で最高なファイターを決める凄い大会なんだポコ!」
「時空を越える?それでは我らが未来にでも行くような言い方ではないか?」
「惜しいポコ。みんながこれから向かうのは過去だポコ。そこにはその時代の最強ファイターたちがみんなを待ってるポコ。そしてここにいる『未門 友牙』、『星詠 スバル』、『陸王 マサト』、君たちはこの時代の最強ファイター代表に選ばれたポコ。」
「え、オレ達がこの時代の代表ってこと?」
「正確にはもう1人いるんだけど…まあそれは大会が始まれば分かることだポコ。だいたいの説明はこんな所で後の細かいことは行ってから説明するポコ。3人とも当然来るポコね?」
「ああ!当然行くに決まって…もごッ!?」
そこまで友牙が口にした所でスバルとマサトが友牙の口を塞いでデカたぬきとぶんぶくから少し離れた場所に移動した。
「ぷはッ!2人とも何するだよ。」
「友牙、まさかあの2人の言う話を信じる気じゃないだろうね?」
「スバルの言う通りです。こう言っては何ですが…あの2人は怪し過ぎます。」
「俺もスバルたちと同じだ。突然あんな話をされてすぐ信じろって方が難しいだろう。」
「自分もそう思うゾ。第一、過去に行くってことホントに出来るのか?」
スバル、クロス、マサト、アギトの反応は当然の反応だ。突然過去にこれから向かうと言われてすぐに信じられる人間はそうはいない。
「でもオレは、あの2人は悪い人には見えないし嘘を言ってるようにも見えないけどなあ。」
そんな様子をデカたぬきは眺めていた。
「いったい何の話をしてるポコ?」
「なんじゃ、まだ話終わっとらんかったのか。」
先程まで凹んでいたぶんぶくはすっかり立ち直っていた。
「それが説明を終えた後あんな風に話し込んでしまったんだポコ。」
「全くしょうがないこわっぱ達じゃのう。仕方ない。」
そう言うとぶんぶくは友牙達の方へ近づき、合図をするかのように両手を鳴らした。
すると友牙達の近くに黒いゲートのような物が現れた。
「おりゃーーーー!」
ゲートが現れた瞬間ぶんぶくは友牙達をゲートに蹴り込んだ。
「「「うわああああーーー!」」」
そして友牙たちはそのゲートに飲み込まれて消えてしまった。
「師匠!いくらなんでもやり方が強引過ぎるポコ!」
「ワシのやり方が回りくどいと言ったのはお主の方じゃろ。」
「確かに言ったけどポコ…。」
「それにここでいくら考えるより見せた方が早いじゃろう。」
「全く、…後で怒られても知らないポコよ。」
「じゃあ、ワシらも向かおうかのう。」
そう言うとぶんぶくとデカたぬきもゲートに入って行った。そして、2人がゲートを潜るとゲートは屋上から姿を消した。

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「ん、う~ん…。あれオレ寝てたのか?」
目を覚ました友牙は起き上がり辺りを見回した。
「お、やっと目を覚ましおったか。」
目を覚ました友牙に声をかけたのはぶんぶくだった。
「まあ、無理もないのう。初めてゲート使用した際はほとんどの者は意識を失ってしまうからのう。」
「えっと…確かオレ達が話してる時、ぶんぶくのじいちゃんに黒いモヤみたいな物に押し込まれたんだよな。あ、そうだ!みんなは!?」
友牙は辺りを見回した。周りには気を失っているガルガ、スバル、クロス、マサト、アギトの姿があった。
「おい、ガルガ。起きろって。」
友牙はガルガの身体を揺らして起こした。
「ん、友牙か…。」
ガルガはすぐに目を覚まし、辺りを見回した。
「友牙よ。本当にここは過去の世界なのか?」
「そのはずなんだけど…。」
2人は違和感を覚えた。いや、正確には違和感が全くなかった。友牙達の周りはゲートを潜る前と景色が全く変わっていなかった。
しばらく話をしているとスバル達も目を覚まし出した。
「スバル、大丈夫ですか?」
「ああ、平気だよ。クロス。」
「アギト、怪我はないか?」
「自分はで何ともないゾ。マサト。」
全員が目を覚ました所でぶんぶくは友牙達に話を始めた。
「よし、全員目を覚ましたようじゃの。少し強引に連れてきたがその方がお前たちも理解するのが早いと思ってのうすまんすまん。さて、ここはお前たちの時代からだいたい20年程前の相棒学園じゃ。」
「ここが、20年前の相棒学園?オレ達がいた時と何も変わってないような…。」
「まあ時期に分かるわい。まあまずは、この時代について知って貰わんとのう。お前たちに会わせたい奴がおるんじゃが…そろそろ来る頃かのう。」
「会わせたい奴?」
そんな話をしていると屋上の入り口の方から話し声が聞こえてきた。
「全くジジイの奴、この俺様にわざわざ屋上まで来いとは良い度胸だな。」
「まあそう言うなってバッツ、でも師匠が俺達を呼ぶ理由ってなんだろうな?」
「ケッ!俺様の知ったことじゃねェ!」
「ボクも全く知らないですん。でももしかしたら、前に師匠が言ってた『SSSカップ』に関係した話かも知れないですん。」
「あれ?師匠以外にも誰か屋上にいるみたいだぜ。」
屋上のドアが開き声の主が姿を現した。
「おお、待っておったぞ。こっちじゃ。こっち。」
その人物は友牙達の方へ歩いてきた。その隣には牛のような角を持った黒いモンスターとパンダのような白黒柄のモンスターがいた。
「お主らに会わせたい奴と言うのはこやつじゃ。ほれ、自己紹介してくれんかのう。」
「分かったぜ。師匠。」
そう言うとその人物は友牙達の前へ出た。
「俺の名前は、未門 牙王!太陽番長だ!よろしくな。」

「えええぇぇ!!?父さん!!!!????」


続く

第2話→https://akahebi.hatenablog.com/entry/2020/07/05/114247